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A/D変換のタイミングで発生するバラつきについて

 みなさんこんばんわ。

 店主です。今日はA/D変換のタイミングで発生するノイズについて少し話そうと思います。
 最近は、信号をデジタル化してから、色々な処理をすることが多くなっていますが、その時に必ずA/D変換器を使います。よく、何ビットとかいわれることは多いのですが、今日はその変換のタイミングが変換結果に及ぼす影響について考えてみます。
 私がその昔ある自然界の信号をA/D変換する回路の開発をしていた時の事です。その信号はランダムに発生するパルス信号で、まずピークホールド回路でピーク値を保持し、市販のA/D変換器にてA/D変換をしていました。その制御はマイコンで行っていました(16MHzのクロックでした)。
 ランダムに発生するノイズでしたので、マイコンでは、タイマで割り込みを入れて、ピークホールドがかかって居れば、パルスが入ったものとして、A/D変換を行い、データを取り込むといったルーチンにしていたのですが、どうしても、A/D変換の値がばらつくという問題に直面しました。
 結局の所、ランダムに発生するパルスをピークホールドしてから、A/D変換を開始するまでの時間のバラツキが原因でした。つまりピークホールドした後、どうしても電圧を保持したコンデンサは基板を通してほんの少しずつ放電するため、電圧が少しずつ落ちてきますが、A/D変換の命令は、ピークホールドしたことを、マイコンの割り込み命令、すなわちマイコンのクロックに同期したタイミングで発生するため、ピークホールドからA/D変換開始までに時間にバラつきを発生させていたのです。
 基板の絶縁を上げたり、割り込み間隔を短くしたりしたのですが、減りはしますが、スペックには至りませんでした。
 結局やったことは、タイマとかクロックとかに頼らず、パルスが発生してピークホールドされたら、それを起点としてその後は、手作りロジックでいわゆるバタバタとそのパルスのA/D変換を完了するまで、やってしまうという事でした。今になって考えれば、自然界でランダムに発生している事象を、人間の都合で、自分のクロック上で行おうというのが、傲慢だったのかもしれません。
 今は高速で動くFPGAとかがるので、私の作ったバタバタロジックは簡単にできるのかもしれませんが、クロック同期で行うときっとA/D変換値にバラつきが発生すると思います。ただ、昔よりクロックがとても速い分だけ、バラつきは小さいでしょう。
 今思えば、いい経験をせて頂きました。

 そういえばうちのお店に、A/D変換器がないですね。機会があれば、仕入れておきます。

 店主。